ご存知でしたか?

病気で動物病院に来院する動物の30%以上が皮膚病であり、大部分はアトピーと角化症およびそれらの疾患に関連する感染症です。

臨床医学に基づいて、犬の皮膚トラブルを考えました

これらの疾患での特徴は、発症以前に感染を許容するほど皮膚のコンディションが劣化している点で、発症以前のコンディションが必要になります。 特にアトピーは、定期的に増悪期と、無症状期を繰り返すために、無症状期に治療をするという考えが欠如しがちです。 しかし、アトピー患者の皮膚は無症状期にもバリアの不可欠な要素であるセラミドの減少、皮膚が正常な代謝を行うための水分量の減少が生じており、この時期の治療が発症を左右します。

すなわち皮膚疾患、特にアトピーにおいてスキンケアはオプションではなく、薬物治療と同等の、あるいはそれ以上に重要な治療法であると考えられています。

皮膚病のほとんどは、バリア機能の低下で発病します

角質層は、皮膚細胞代謝の最終形態で、すでに死んだ細胞ですが、体表最表層を何重にも覆うことによって内部の生きた細胞を守っています。
健康な皮膚は、この角質層によってさまざまな物質の進入を防ぎ、また体内の水分の喪失を妨げるように保護されています。(図①) アトピーのように表皮脂質が減少する疾患では、角質層とセラミド等で形成される、外→内バリアが機能せず、細菌や抗原の進入を許容する状態になります。(図①)皮膚角質層顕微鏡写真(図②)

正しいスキンケアとは?

健康な皮膚を取り戻すスキンケアとは、わずか2つの作業を皮膚に対して実施することです。
厚生省長期慢性疾患総合研究事業ガイドランによると、スキンケアについて以下のように報告されています。

1.シャンプー (有害物質の除去)

汚れを落とし、清潔な皮膚の状態にする

2.保湿 (有益物質の添加)

有益物質の添加 皮膚の乾燥を防ぐために保護する

効果的なシャンプー・保湿剤の洗濯と注意点

  • シャンプー

シャンプーの選択の最も重要なポイントは洗浄力があることと、皮膚刺激性が少ないことですが、この2つは基本的には両立しません。全ての洗浄剤は細胞に有害であり、皮膚病変があればその副作用はさらに表現しやすくなります。
動物用シャンプーは十分な規制や企業モラルが浸透していないため、特に注意しなければなりません。
スキンケアに使用されるシャンプーは、全成分表示のものを選択し、洗浄成分が含有されていること、有害化学物質が含有されていないことを確認する必要があります。
また、洗浄成分に刺激性の高い陽イオン界面活性剤(注:リンスは界面活性剤:リンスは陽イオン貝活性剤に分類され、極めて皮膚刺激が強いため、皮膚疾患を有する犬への禁忌となります。)が使用されていないことも重要なポイントです。

  • 保湿剤

シャンプー後は体表に油脂を補給しなければなりません。
しかし多くの動物用保湿剤は界面活性剤が使用されており、十分な安全性や機能が確認されていません。
皮膚を清潔にした後に添加するものなので、含有されている物質が有害科学物質か肌にやさしい天然成分かの見極めが重要となります。
また極めてオイリーな個体には、ノンオイルタイプの製品を選択することで対応できます。

獣医師向け動物用のシャンプーのスクラッチテストによる毒性試験。
高率に皮膚炎を誘発する製品が多い。
重度のシャンプー誘発性皮膚炎
PAGE TOP